窮余の策として、長い伝統を破った驚異的な名案があみ出されたのです。
当時は各大学に大学紛争の嵐が吹き荒れ、大学封鎖という最悪の事態が起こるにいたって、企業は大学就職部とのコンタクトもとれない状態でした。
片や大卒を求め、片や大卒求人の実態をつかみきれない悩みが、この方法を生み出したともいえます。
学生は、「求人申込書」の公示がなってもこれまでの先入観やイメージで企業を選ぶことができました。
その状態でいっせいに「自由応募」ということになると、企業も学生も大学へ出向かなっても就職活動ができるようになった、という今から考えるとイレギュラーともいえる就職戦線が、事の始まりです。
「自由応募」とは、大学を経由することなり受験希望者には受験窓口を開放する方法です。
考えよくによると、窓口の開放は学生にとっては有利ですがその反面、競争が激化することも事実です。
学生に人気のある大企業のなかには、諸君も知っているとおり、前日からシュラーフ持参で、玄関のシャッター前にたむろ当日は早朝から大きなビルをぐるぐると取り巻くほどの学生が集まるところがありました。
このことだけをとってみると、企業の人気のバロメーターを見ることにもなりますが、学生の健康上に問題なしとはいえません。
「自由応募」は企業も学生もともに利あるものと思われます。
企業は多くの受験希望者のなかから、求める人材を探し出せるメリットがありますし、学生はなんの制限もなり受験できるメリットがあります。
しかし、ここで大きな問題になるのは、とくにその企業が学生の人気を集めている場合は、企業を訪れる希望者の数も膨大となり、加えて、同じ時期に他の企業もいっせいにこの方法で採用活動を始めるので、チャンコ鍋をひっくり返したような状況が生まれ、就職市場が乱れるということです。
また、求める人材の条件も似たようなことになりますと、企業にとっては、労多くして実り少ないといったことになりかねません。
そこで優秀な学生は引っ張りだこになって困った現象が起こります。
すなわち、企業すべての採用活動がいっせいに「自由応募」方式でスタートすると、生き残るのは誰か、ということになりましょう。
結論として出ているのが、遅いスタートより早いほうが有利ということです。
的をしぼった受験でなければ、一度チャンスをつぶすとなかなか適職を見つけにくくなり、せっかく歓迎していたはずの「自由応募」方法が、裏目に出てしまいます。
では、どう対処したらよいのかを続けて書きます。
まず第1に、自分の能力に合った企業、十分こなせるだけの職業を探すことから始めなければなりません。
大きく的を外れた高望みをしたり、できもしない職種を選び、ただのあこがれや、他人の真似や、親の強制などにまどわされて受験企業を決定するととんでもない失敗をします。
140万が1採用されても、喜ぶのは入社までで、入社したとたんに、思惑と違ったとか、与えられた仕事を完遂することができないとか、もう少しよく研究しておけばよかったなどと後悔しても、船は港を離れたあとで帰るに帰れず、冷たい海に飛び込むより道がないということになります。
そうならないようにするには、自分の能力に合った生きがいを毎日の職場に兄いだせると自信の持てる企業を選び、この「自由応募」方式を十分利用して、成功を勝ち取ることです。
その企業が、「自由応募」で受験できるか、ひょっとして「学校応募」になっているかは、資料室にある前年度の資料や、各情報紙誌等によってへ前もって調べることができます。
もしわかりにくいときは各大学の就職部へ行けば、すぐに教えていれます。
「自由応募」ができるとわかれば、これまで蓄積した企業研究の結果を再検討し、決意することです。
いったん決意した以上は、必ず内定を勝ち取るのだ、という気持ちと、提出書類の整備、あとはただ積極行動あるのみです。
「自由応募」は見方によると、学業成績のあまり良くない学生には有利でしょう。
なぜならば、前項で説明した「学校応募」の場合、学内選考は、三年生までの成績のみで順位が決められる大学が多いからです。
ここにも「学校応募」形式の大きな欠点があります。
昔からよくいわれるように、人間は成績のみにあらず、その人物が企業を育てるのです。
企業は成績が多少悪くても、人間性豊かな人へ学生時代に燃焼しきっていない可能性を秘めた人を求めているのです。
完全な自己分析をすることによって、相手を納得させるだけの君のよさが、当然兄いだせるはずですし、自分にできてほかの人にできない長所を大きな武器として、積極性を誇示すべきです。
多くの企業は君という人材を欲しています。
言葉を換えていうと、君という立派な素材を企業に売り込むことによって、社会に貢献できるすばらしい製品に変わることこそ、社会に出ることなのです。
さあ諸君、「自由応募」で就職を勝ち取ってください。
縁故応募とは学生諸君が企業の入社試験を受験する方法に「学校応募」と「自由応募」とがあることは、これまでの説明でご理解願えたと思いますが、ここで説明する「縁故応募」は形こそ違いますが、大きく分類した「自由応募」形式の一つに属するものとされています。
なぜならば、縁故者がある場合は、その縁故者の紹介によって受験ができ、大学とはほとんど関係ありません。
したがって推薦するのは当然縁故者であって、大学ではなり必要書類の中に大学の推薦状を必要としないからです。
さて、はじめに、「縁故」とはいったい何を指すのか、どのようなものが「縁故」といえるのか、を考えてみたいと思います。
結論から先に申しますと「縁故」とは、その学生を「採用」しなければ、「縁故者」の顔をつぶすことになり、ひいてはその企業の浮沈にかかわる、という大きな条件があることです。
二つ目にはへその学生に会わなっても極端にいえば、試験をしなっても「縁故者」から申し入れただけで採用を約束され、一応形式的に受験だけさせる、という形のものです。
すなわち能力や通性があろうがなかろうが、そんな基本的な条件よりも、その縁故者が企業とあまりにも密接な関係にあるために、一戸かけられると、どんなことがあっても採用する、採用しなければならない、というのが「縁故」です。
これだけわかっていただければ本当の意味の縁故の存在が、いかにわずかなものになるかがおわかりになると思います。
毎年、何人かの学生が、あるいは家族がこのことについて質問します。
この場合私がいつも聞くことは試験を受けない前に内定の約束ができているのか、ということです。
ほとんど(すべてといってもいい)の学生や家族が、”ある程度の成績はとってほしい”といわれたとか、”筆記だけはパスしてほしい”とか”一次試験を実力で合格していれればあとはなんとかうまくゆく”とかへ実に「縁故」のエの字にもほど遠い条件をつけられています。
父親が社長をしている企業ならいざしらず一般の企業や官庁で、そんなに簡単に内定を出すはずがありません。
社日月1人の生堰経費は三億とも四億ともいわれている昨今、世の中はそんなに甘いものでしょうか。
私たちのようなこの道の専門家には、どうも理解しにくいことです。
ここで、大きな間違いを指摘すると、「縁故」と「紹介」をとり違えているのではないか、といくことです。

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